Q:ニードルの調整が,難しいのでは?

A:ニードル1コマに対し,エンジンの回転(音)の変化がありますので,ニードルのピークの山が,非常に把握しやすくなります。また上空で,絞りすぎのようでしたら,少し機首を上げただけで苦しい音になりますので,すぐに着陸させ,ニードルをゆるめて下さい。絞りすぎの現象が分かりやすいので,エンジンの破損を最小限にくい止めることが出来ます。



Q:新しいエンジンの慣らしは,オイルが少ないと心配。新品エンジンから使用しても大丈夫? またABCタイプのエンジンに使用できますか?

A:最新化学合成オイルは,摩耗に対しては,従来燃料のオイルをはるかに越える耐摩耗テスト結果が出ています。たくさんオイルが混入されていた従来燃料では,エンジンのクリアランスが燃料の粘度や蓄熱によって歪みが起きている可能性もあります。途中から使用されるよりも,むしろ新品から使用されることがエンジンの歪みも少なく,適正なクリアランスで使用できます。エンジン説明書に従って,やや濃いめの混合気でブレークインを行ってから御使用下さい。



Q:低オイル燃料を使うとエンジンが錆びないか?

A:エンジンの錆の原因のひとつとして,運転後のエンジン内の残留オイルは酸化しており,鉄部品を錆させます。従来燃料より,クランク室に残るオイルは,必要最小限になりますので,オイルの酸化による錆も,最小限に食い止めています。また,従来燃料以上に,最新防錆剤の研究がされておりますので,安心して御使用下さい。



Q:使用後のメンテナンスが面倒ではないか?

A:飛行や走航の後,そのままでも問題ないようですが,エンジン説明書の通り,エンジン内の燃料がなくなるまでアイドリングで運転し,その後,防錆油などを注油するなどの手入れを行えば万全です。通常のエンジンをメンテナンスする方法で充分です。



Q:気温が高くなるとパワーがなくなるのでは?

A:高温多湿でのメーカー・テストでは,何も問題は起きておりません。まったく心配はありません。むしろ夏は,従来燃料で高ニトロを使用し,パワーを補っていたことが,低オイル・グロー燃料では必要なくなると思います。



Q:低オイル燃料を4サイクル・エンジンに使用後クランクしたら,“カチャカチャ”と機械音がするようになった。このまま使用しても大丈夫ですか?

A:エンジンはある程度使い込んでいくと,可動部分に隙間が出来るものです。運転によって隙間が生じたために音がしているものと思います。隙間にオイルの油膜を形成させて,エンジンを運転するのが最も理想的な状態といえます。高分子オイル,特殊添加剤の配合された低オイル・グロー燃料でしたら,従来にない油膜の保持力がありますので,まったく心配なく使用できます。



Q:YSエンジン(レギュレター)には,問題が起こらないのですか? また4サイクルのYSエンジンには問題はないですか?

A:大丈夫です。しかし,ダイヤフラムが,少し変形を起こしますと,ダイヤフレムが燃料粘度の薄さから,正常にレギュレターが作動できなくなるようです。レギュレター不調の兆候として

  1. ニードルが定まりづらくなる。
  2. 離陸後,しばらくしないと全開パワーを得られない。
  3. 上空でスローを長時間続ける と,エンジン回転が吹き上がらなくなる。

などの症状が出た場合,新品交換するか,YS53.63.91の場合,2枚張り合わせて使用する(ダイヤフラム2枚をバスコークで接着する。塗布した余分なバスコークは,丸棒などで追い出し,乾燥後エンジンに取り付ける)と耐久性も向上し,エンジン特性もさらに良くなります。
 利点としては,長期にエンジンを使用しなかった場合,レギュレターや逆止弁などに,オイル残量が少ないため,長期保存後でもすぐ快調にエンジンを使用できます。



Q:ポンプ付きエンジンや,インジェクション仕様のエンジンにも使用できるでしょうか?

A:メイン・ニードル,スロー・ニードルの調整をする位で,まったく問題なく使用出来ます。ポンプ付きやインジェクション仕様は,細い隙間やノズルから燃料が通過するように非常にデリケートに出来ています。このため,オイルの多い燃料では,しばらくエンジンを回していないと配管を詰まらせたり,不具合を生じるものですが,低オイル・グロー燃料はオイルの固まりがほとんど発生しないため,そのようなトラブルは非常に少なくなります。



Q:低オイル・グロー燃料は,スローがきかない? 従来燃料から移行した場合,ニードル以外のセッティングは変わりますか?

A:たぶん,スロー・ニードルが濃すぎるようです。エンジンによってはスロー・ニードルをかなり薄くしなければだめなものもあります(YSエンジンは,少し濃くする場合もあります)。スロー・ニードルを少しずつ絞り込んでみて下さい。
 次にレスポンスを見てみます。もたついたり,プラグヒートを外してすぐエンストするようでしたら,更にスロー・ニードルを絞ってみて下さい。エンスト原因であるオイル成分が少ないので,抜群のアイドリングとレスポンスが得られます。



Q:エンジンがオーバーヒートしやすいのでは? フル・カウリングのスケール機,ヘリコプターのスケール・ボディにも使用出来るでしょうか?

A:まったく問題ありません。多量のオイルによる熱ダレもなくメタノールによる冷却効果が多くなりますので,冷却性は従来燃料を上回っています。多すぎるオイルは,熱を蓄積するばかりでなく,その熱によってキャブレター内で激しい燃料流量の変化が起こり,エンジンを不安定にします。



Q:単純にオイルが少なくなっただけですか? エンジンの耐久性は?

A:オイル開発の技術進化が成し得た技(わざ)ですね。高分子タイプのオイルや特殊添加剤,防錆剤を組合わせたことで,オイル粘度を変えることなく,しかもパワーやトルク,耐久性や安定性,燃費などを損なうことなく(むしろ向上している)低オイル化を実現したのです。蛇足ですが,オイルの種類は燃料メーカーによって違いがありますので,それぞれ確認して下さい。



Q:カーボンやスラッジの発生具合は?

A:オイルが少ないので,オイル中の不燃焼部分によるカーボンやスラッジなどの発生が少なくなります。エンジンの汚れは外部,内部とも大幅に少なくなります。



Q:エンジンのパンチがない?従来燃料から移行した場合,パワーはなくなるのでは?

A:たぶんニードルが濃い状態と思います。低オイルだからといって怖がらずに,ピッーと音がするまで絞り込んで下さい。そこから何コマ戻すかは,上空での伸びを想定してニードルを戻します。また,低オイル・グロー燃料は,低速から高速まで非常にスムーズにレスポンスします。従来燃料では中速をきれいに調整できるものが少なく,スローからいきなりハイにレスポンスする燃料が多いですね。いきなり最大パワーが出るため,そのスピード感覚や音の感覚の違いによる“パワー感覚の違い”が考えられます。燃焼に不必要なオイル分が減っているため,パワーはむしろ向上しているものと思います(容量あたりのニトロ含有量の違いにより,差が出る場合があります)。



Q:特定のエンジンについてのニードル変化量は?

A:ラジコン技術(2000年)7・8月号に掲載してありますので,そちらを参照してください。



Q:大型エンジンには,問題ないですか?

A:大型エンジンは,1回転あたりに燃料を吸入する量が多いため,従来燃料の中に含まれる必要以上のオイルによるプラグの失火を招く可能性が大変多く,エンジン回転の安定性やエンストに大きな影響があります。大型エンジンこそ,低オイル・グロー燃料が適しているといえます。



Q:多気筒エンジンには問題はないですか?

A:プラグを失火させるオイルが少ないため,片肺やエンストが多い多気筒エンジンにも最適です。キャブレターのセットもさらに精密に行えますので,非常にきれいなレスポンスを見せてくれます。また,冷却性も増しておりますので熱だれがなく,エンジンの寿命にも好効果をもたらします。エンジン音も振動の少ないきれいな音になりますので,本来の多気筒エンジンの鼓動が聞こえてきます。



Q:ヘリコプターで,離陸できないほどパワーがなくなったのですが…?

A:明らかに混合気が濃い状態です。スロー・ニードル,メイン・ニードルとも絞り込んで下さい。自分で分からない場合は,ベテランの方にお願いして下さい。



Q:気温や季節の変化を受けやすいのでは?

A:温度や湿度の影響の大きいオイルが少ないので,オイルの粘度変化が少なく,ほぼ一定したニードル位置で1年中,快適にエンジンを使用できます。



Q:将来,何%までオイル量を減らせるのでしょうか?

A:マフラーからの排油の量がほとんどなくなるところまで減らし,電動模型のように汚れの少なくなる量が最終目標です。燃料とオイルを混合して使用するタイプのガソリン・エンジンでは,オイル含有量は1〜6%ですから(排気量の大きさやエンジンの種類によって違いますが),より優れたオイルの登場や,またはエンジンの改良などにより目標は達成できることでしょう。やはり,汚れは少ないほうが良いものです。



Q:なぜ,燃費が良くなるの?

A:キャブレターのスロー側と高速側の干渉が少なくなり,キャブレターの吹き返しなどによるエンジンの回転ムラがなくなったりします。また,グロー燃料に含まれていたオイル(不燃成分)が減り,その分グロー燃料の主成分であるアルコールが増えることで燃焼効率の良い燃料に仕上がっている,という理由です。



Q:ヒマシ油は,配合されているのでしょうか?

A:ヒマシ油にはカーボン,スラッジなどの発生があり,エンジンやマフラーの外見がこげ茶色になってしまいます。日本の空域モデルのユーザーには嫌われておりますので,現在販売されている低オイル・グロー燃料には配合されておりません。なお,燃料メーカーにより違いがありますのでご確認ください。



Q:どうしてもメイン・ニードルが定まりません

A:ほぼすべてのエンジンに対応できているものと思いますが,従来燃料との感覚の違いやメイン・ニードルの偏心,飛行機のプロペラやヘリコプターのピッチがオーバーロードになっていないかを,まずチェックしてみてください。エンジンによる個体差によるもの,エンジンが正常な場合にどうしても定まらない場合は,エンジン・メーカーに相談して,メイン・ニードルのテーパー比が緩いニードルを使用してみて下さい。1コマの反応が鈍感になり,幅の広いニードル・セッティングができます。


 低オイル燃料は“怖い”からという理由で,壊れてもいいようなエンジンや,寿命がきている古いエンジンを使ってテストをしている方がいますが,冒頭(204頁)に記載されているエンジン・クリアランスの関係から,ぜひ新品エンジンからのご使用をお勧めします。
 低オイル・グロー燃料は8〜10%オイルのものがメーカーから現在販売されており,今ではガソリン・エンジンと同じ1〜3%オイルでのテストが始まり,しかもエンジンのダメージはまったく見当たらず,さらにパワフルでクリーンなフライトが楽しめるとの報告も入っています。
 8〜10%オイル含有の低オイル・グロー燃料は,安心できるオイル量です。どうぞ安心して低オイル・グロー燃料を使用してみてください。続けて使用することで,エンジンの内外部,モデルそのものもきれいなことに驚かれることでしょう。

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